飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる 127 (2)

京都府 飛田洋さん(69歳)

七十ナース

真っ平ご免


『一』
痰をそろそろ  とっとっと
笑顔美人が   やって来る
私のナースは  七十歳  七十歳
一番長い    付き合いで
阿吽の呼吸は  腐れ縁 ★

『二』
録画してたの  とっとっと
CM真似して  ふざけてる
ミーハーナースは七十歳  七十歳
画面を見れば  わかるのに
楽して何でも  聞いてくる

『三』
トイレ忘れず  とっとっと
眠る時間に   義務してる
欠かせぬナースは七十歳  七十歳
明るく俺が   過ごすのも
影響大だね   お蔭さま

★ 阿吽 ~あうん


『一』
嘘と媚び売る  世にならい
従がえなんて  真っ平ご免
 俺が抱いてる  ポリシーを
嫌だ捨てぬと  駄々こねる
過去を忘れて  いないから

『二』
知恵と知識を  世に活かす
世間でないと  真っ平ご免
 譲歩なんての  プライドが
許さないのさ  邪魔をする
なまじ工夫を  してるから

『三』
情と義理とを  世がさけて
進歩だなんて  真っ平ご免
 ぶれぬ意識が  セオリーで
俺がなくせば  価値がない
そんな期待も  させぬから


また今日も

知らぬが仏


『一』
私はいつでも  寝られるが
妻はそうとも  かぎらない
無理を承知で  また今日も
夜のヨナカに  ご免なさい
 起こす筈では  なかったが
 そんな気配を  立てていた

『二』
私はとにかく  目ざとくて
妻をなにかと  なやませる
咽たぐらいで  また今日も
夜のヨナカに  ご免なさい
 今夜だけでも  起こさぬと
 決めた筈だが  起こしてる

『三』
私はこれでも  タフだけど
妻は祖母より  ヤワ過ぎる
癖でないのに  また今日も
夜のヨナカに  ご免なさい
 意識し過ぎる  せいなのか
 下手な気配を  させている


『一』
臭い臭いと   言うけれど
加齢臭では   ないですか
考えますと
後遺症かも   しれません
 私は何にも   わからない
 知らぬが仏   なのですね

『二』
臭い臭いと   言われるが
歯周病では   ないですね
考えつくと
後遺症だと   決まりです
 私は感じて   おりません
 知らぬが仏   みたいです

『三』
臭い臭いと   言われたら
感受性から   気にするね
考えますと
後遺症でも   ありがたい
 私は臭気を   知らぬから
 知らぬが仏   なのですね


便利すぎてのことなのさ

夫婦は他人と言うけれど


『一』
たらい手洗い  だったのが
洗濯機なんか  あらわれて
主婦の苦労は  減ったけど
電化セレブが  増えたから
 節電さわぎが  起こるのさ
 便利過ぎての  ことなのさ

『二』
コンロお釜で  あったのが
炊飯器などが  おめみえし
主婦の仕事に  ゆとり出て
電化ニーズと  合わないと
 節電さわぎも  起こるまい
 便利過ぎても  良し悪しさ

『三』
ほうき塵取り  だったのが
掃除機までも  飛び出して
主婦の希望も  かなえられ
電化ブームに  火をつけて
 節電さわぎを  起こしてる
 便利過ぎての  ことなのさ


『一』
夫婦は他人と  言うけれど
絶対ちがうさ  まちがいさ
 恋して夢見て  芽生えてた
 愛はにせもの  まがいもの
夫婦は他人の  捨てゼリフ
別れる二人の  負け惜しみ

『二』
夫婦は他人と  言うけれど
思えば終りさ  おしまいさ
 契りを結んで  来たけれど
 固いキズナで  ないだけに
夫婦は他人と  よぎるから
後先見ないで  ほざいてる

『三』
夫婦は他人と  言うけれど
勿論出まかせ  出たらめさ
 恋して続かぬ  しあわせに
 愛にまよいが  来ただけで
夫婦は他人と  ひらめいて
易きに流れる  言いのがれ


主治医より一言

<<七十ナース>>

 仕事柄、多くの年配の夫婦を見ていて思うのですが、歳をとればとるほど奥様のありがたみが増すように思います。私の家にも五十ナース(婦長?)がいますが、家では指示通り動いています。将来の為に!(笑)