HOME > 患者・家族体験記 > 家族が一番~私の介護日誌~2

特別寄稿

家庭が一番~私の介護日誌 <胃ろう造設後の介護>


東京都世田谷区野田 久人さん


4.家族による介護内容

(1)  胃ろうによる栄養剤の注入等について
 

栄養剤「ツインライン」(大塚製薬)を胃ろうから胃に直接注入する。
「1日2回」、1回あたりの注入時間は約4時間を要している。
※ 妻は1日の90%を眠ったまま過ごしているので、消化吸収機能も通常よりは低 下していると思われる。
そこで、一般に指導されている時間よりも長い時間をかけて注入し、胃腸への負担を軽減している 。
また、注入中は約40度の背上げをしている。
1回量はツインライン400mL+水分(湯冷まし)50mL=450mLと、微量ミネラル補給飲料「テゾン」(テルモ)100 mL +水分(湯冷まし)50 mL=150mLを続けて注入している。→ 1回につき計600mL
※ 以前注入中に嘔吐した時に、栄養剤の濃度を薄めるよう指導されて以来、注入
   剤に水分を足している(現在のところ嘔吐はない)。

  注入開始時間は1回目9時30分頃、2回目18時頃
  水分約130mL(スポーツドリンク)を1回目と2回目の中間に注入
  朝8時からのおむつ交換後、車椅子に乗せ歯を磨いたあと、手製のりんごジュースを約30分飲ませる。飲み下せない日もあり、量はゼロ~50mL。
(このところむせるので、中止を検討中。) →中止(嚥下不能)
  車椅子に乗せることはからだには良いが、約30分が限度と思われる。
(2)  投薬について
  月1度、東京慈恵会医科大学附属病院外科に代理受診、栄養剤・薬を処方される。
  訪問医の処方によるケイレン抑止剤を食後に注入している。
  便秘をするため、夜寝る前にラキソベロン15~20滴を注入している。
  → その後、酸化マグネシウムに変更
(3)  下の世話について
  便は概ね午前中に1回、軟便というより下痢に近い便。したがって、衣類を汚すことが多い。
 

尿のおむつ交換は8時、14時、17時30分、22時30分の4回。 → その後追加 12時、21時の計6回
深夜は尿が少ないので省略している。 → 3時30分に1回実施
  尚、便が出ないときは午前11時にも交換している。 → 便は1日平均1回

→計8回の交換

 

便のときはフラットのおむつを2枚敷き、シャワーボトルを用いて洗い流している。
又、尿の場合も尿とりパッドを1枚敷き、洗い流している。
※ 尿とりパッドは「超大型の夜1枚安心パッド」(大王製紙)を使用。
   テープ型のおむつと併用している。
※ 平成13年11月肺炎を患い、退院後咳と痰が出るようになり、吸引している。

(4)  胃ろうの周囲と胃ろうチューブの洗浄
  洗浄ボトルを用い、微温湯で胃ろうの周囲を洗浄する。
特に付着している微量の滲出液を除去し清潔にする。
洗浄は朝食前、14時ごろ(不定期)、22時30分頃の3回。
このところ滲出液はゼロに近い。
※ 平成14年頃から朝1回のみ(滲出液がゼロのため)
  通常は胃ろう周囲の消毒は一切しない。未滅菌Yカットガーゼをあてておくだけであ
る。
  胃ろうへ接続するチューブは、使用後46℃の温水を通しながら、指でチューブをもみ洗浄している。尚、このチューブと栄養剤を入れる袋は、月に2回、交換している(病院から提供。 ただし病院ごとに対応は異なるようである)。
※ 介護者は、ツメ切りや薬用石けんでの手洗いを励行している。
   原因は不明であるが、胃ろうの造設部分を化膿させたことがあるので注意してい る。
(5)  部屋の温度、着衣の管理について
  妻は声も出せず、意思を表現できないため、介護の中で一番気を遣っている。
常に卓上の温度(湿度)計を見ては、エアコンや着衣・掛けものを調節している。
  深夜の点検は、1時30分頃(長女)と3時30分頃(夫)の2回。 →1時30分を省略し1回
  冬場は加湿器で湿度40~55%を維持している。
また、冬の深夜は汗をかいていても室温が下がっているので着替えはさせず、背中にタオルをさしこんで汗を吸い取っている。 ※近年発汗作用がないため、エアコンや着衣に神経をとがらせている。
(6)  体位変換について(床ずれ防止のため)
  エアマットを使用しているため、昼間は2時間毎、夜は8時と11時、深夜は3時30分頃1回、寝返りをさせている。
(7)  洗濯について
  便が付着したパジャマ、お尻拭き(綿製)などは次のようにしている。
(イ) 水洗便所で、固形石けんを使い、先ず汚れを落とす
(ロ) 次に下洗いしたものを塩素(除菌・漂白のため)の液を入れたフタ付きのバケツ    に入れておく(色柄の 生地は色が落ちることがあるので注意)
(ハ) 最後に水で手洗いの後、洗濯機で洗う。 
  毎日2~3回洗濯をしている。→ 最近は1回のみ
※ 固形石けん(神戸市の㈱ハイネリ製)は泡が少なく汚れが良く落ちる。
(8)  その他
  顔拭きやお尻拭きを使用する時は、ビニール袋に入れ電子レンジで温めている。
(除菌・洗濯済みなので清潔)

5.介護保険による介護スケジュールと医療行為

要介護度5の認定を受けており、介護保険は最大限活用している。
介護サービス及び医療行為は次の通り。

介護サービス
医療行為
曜日
時  間
ケアの内容
時  間
診   療
8:00~10:00
ホームヘルパー /清拭 おむつ交換、
            家事(清掃)
            汚物下洗いなど
16:15~16:45
マッサージ、リハビリ
(週2回)
8:00~9:00
15:30~17:00
ホームヘルパー/月曜日に同じ
訪問看護 /病状観察、 検査、清拭、
        リハビリ、 介護者指導
  
  
8:00~10:00
ホームヘルパー/月曜日に同じ

  
 

8:00~10:00
ホームヘルパー/月曜日に同じ

  
 
8:00~9:30
ホームヘルパー/月曜日に同じ
14:00~15:00
の間     
17:00~17:30
訪問医の往診(週1回)/
     病状診察、 投薬
マッサージ、リハビリ
8:00~9:30
14:40~15:20
ホームヘルパー/月曜日に同じ
訪問入浴(週1回)/入浴、洗髪

  
 
8:00~10:00
ホームヘルパー/月曜日に同じ

  
 
 福祉用具はベッド、車椅子の貸与を受けている。
 入浴の際は、胃ろうを保護するために4.5cm角のガーゼをあて、その上にテープを貼っている。
→ 近年はカバーはしていない。
一般的にはそのまま入浴して差し支えないのだが、訪問入浴時は体が冷えないように身体全体にタオルをかけてからだを洗うため、胃ろうの部分が見えなくなってしまうので、安全のためカバーをしている。

6.在宅ケアの1日の流れ

時刻
介護サービス
介護者(夫・娘)
8:00
ホームヘルパー:清拭、おむつ交換<1回目>りんごジュース(約50mL)および1日分の湯冷まし(約2L)をつくる。→ 中止している
検温
8:30
車椅子へ移動(共同)
家事(清掃)、下洗い
車椅子に移し、歯を磨いたあと引き続きりんごジュースを飲ませる
飲む量は日によって異なる。ゼロ~50mL
※口腔ケアは歯をみがき、イソジンにて消毒
9:10
ベッドへ移す(共同)ベッドへ移す。汗をかくのでシーツの上にバスタオルを敷く(共同)
胃瘻周囲を洗浄ボトルを用い微温湯で洗浄
9:30
※ ホームヘルパーの勤務時間は
火・木・金・土曜日は8時~9時30分
日・月・木曜日は8時~10時
栄養剤(液状)を専用の袋に入れ、袋からのチューブを胃ろうボタンを開け接続する(1回目の食事)
安全のため、チューブの1箇所を絶縁テープにより腹部に固定する
※ 食事:ツインライン400mL+水分50mL
    ※ 冬場は栄養剤を40℃くらいのお湯につけ、少
      し温めてから注入している
10:00
  洗濯
概ね午前中に排泄する。おむつ交換<2回目>。このとき体位変換
汚物の下洗い
12:30
 栄養剤の注入終了
微量ミネラル補給飲料の注入
    ※ 微量ミネラル補給飲料:テゾン100mL+水分
       50mL→ 省略している
13:30
 テゾン注入終了
投薬(ケイレン抑止)は、液体(デパケン)薬を水分に混ぜ、シリンジにより注入
使用済みの栄養剤注入用の袋とチューブを。洗浄する
14:00
 おむつ交換<3回目>と体位変換
14:40
訪問入浴 ※(土)のみ 
15:00
 介護用品、生活用品等購入
15:30
訪問看護 ※(火)のみ  
16:00
  体位変換
水分補給約130mL(スポーツドリンク)
17:30
 おむつ交換<4回目>と体位変換。検温
18:00
  2回目の栄養剤(液状)の注入
    ※ 食事:ツインライン400mL+水分50mL
20:00
  体位変換
21:00
  2回目の栄養剤の注入終了
テゾン100mL+水分50mL
22:00
  テゾン注入終了
投薬はケイレン抑止の薬を注入
22:30
 便秘予防のため、ラキソベロン15~20滴を水分50mLに混ぜシリンジにより注入← 酸化マグネシウムに変更
22:40
  洗濯
23:00
  おむつ交換<5回目>と体位変換。顔拭き。検温
23:20
  胃ろう周囲を洗浄する← 省略
23:30
 就寝(消灯、卓上の蛍光灯を点灯)
1:30
 長女が部屋の室温と着衣の点検
3:30
 夫が室温と着衣の点検及び体位変換
  • ※ 夫は深夜、不規則な強度のケイレンで起こされ、 静まる迄約30分付き添っている← 不要となった
  • ※ 水枕は、栄養剤注入中、頭部と顔が熱くなるので年間を通して使用している。← アイスノンに変更
     水枕を使用するときは、頭が高くなり過ぎないよ うに低い枕に取り替えている
  • ※ さらに秋から春にかけて顔が赤くほてるので、デコデコクール(久光製薬)をその時期ほぼ毎日のように貼っている←治癒しない

(1)

1日の栄養剤と水分の摂取量

 
   ツインライン 800mL+水分100mL(2回分)
   微量元素200mL+水分100mL ※ 現在テゾン100+水分50
   水分(スポーツドリンク)130mL ※ 現在、朝ポカリスエット130+水分70に変更
   投薬時水分 150mL(3回分) ※ 現在は120mL   
      計 1480mL
    ※ 22時30分ポカリスエット120+水分30補給
    
計 1520mL
   

2006年12月現在

平常時・体重43kg

  • ツインライン 400mL + 水分50mL × 2回

  • 微量元素 100mL + 水分50mL × 2回

  • スポーツドリンク(水分)150mL + 水分100mL × 3回

  • 投薬時等 200mL

計 2000mL

(2) 妻のベッドは居間(洋間)にあるので、昼間は介護者が常時把握できる。
(3) 夜間は介護者が隣室に就寝しているので深夜でも様子が分かる。
(4) 冬場は当然のことながら、介護者が外出した時は病気を持ち込まないように、イソジンでのうがいと手洗いを励行している。
(5) 栄養剤の注入量や排便等の記録は、別紙様式により毎日記録している。