7.介護者である私(夫)の日常生活
「在宅ケア1日の流れ」のとおり、ほとんど介護と介護サービスの立会いに追われていますが、午後少し時間が取れるので、食料品や介護用品等の買い物に出かけています。
しかし、特に我が家で料理するほど時間的余裕も無く、食事はお惣菜を買って済ませることが多 くなっています。
そのようなことで、新聞や本などもゆっくり目を通すことができませんが、妻には今まで随分助けてもらいましたから、今度は恩返しに私が妻を助けるのは当然のことと思っております。
一方、忙しい割には運動不足になりがちですので、毎日手が空いたとき約30分の散歩は欠かしたことがありません。また、ストレス解消を兼ねて、仲間たちと月1回のゴルフが唯一の楽しみになっております。※ 近年はゴルフも出来ません。
前述のように、妻の病状は重度ではありますが比較的安定していますので、長期戦の覚悟で共倒れにならないように、私自身健康には特に留意して生活しております。
8.介護用品使用一覧表
品名 | 使用目的 |
1. | 寒暖計(湿度計兼用) |
声を出せない要介護者には特に重要 |
2. | 洗浄ボトル | 胃ろう設置部分を洗浄するのに最適である (38℃のお湯を使用) |
3. | 尿とりおむつ(転用) | 胃ろう洗浄時に流したお湯を吸収させるのに使用する |
4. | 未滅菌Yカットガーゼ | 胃ろう部分にあてるもの (7.5cm×7.5cm) |
5. |
ティッシュ | 洗浄後、水分を拭き取るため |
6. | 絶縁テープ |
胃ろうに接続するチューブを止めるもの。安全のため腹部に
1箇所止める。
このテープは皮膚にやさしい |
7. | ガーグルベースン | 朝、おむつ交換後、車椅子に乗せて歯を磨いている。
その際用いる |
8. | 計量カップ | 栄養剤混合のため。500ccカップが2個あると便利 |
9. | ミルトン | 計量カップ消毒のため。 |
10. | おむつ | テープ型おむつ
フラット型おむつ:便・尿が漏れるため、シーツの上に敷いている (転用)
尿とりパッ ド (大王製紙の超大型は吸収量が多い) |
11. | シャワーボトル | おむつ交換時に微温等で洗浄するもの (便・尿とも) |
12. | 顔・お尻拭き等 | 顔拭き用
お尻拭き:2種類。
綿のさらし生地を30cm角2枚を重ねて手作りしたものと市販のおしぼりを使用
乾いたおしぼり:拭いたあとに残った水分をとりのぞくため |
13. | ポリバケツ(中)
<フタ付き> | お尻拭きなど汚れたものを固形石けんで下洗い後、塩素系の消毒液につけるため
| 14. | ポリバケツ(大)
<フタ付き> | 紙おむつ処理用 |
15. | 洗面器
| 清拭用とおむつ交換用に2個必要 |
16. | ボウル
| 栄養剤注入用のチューブ類の洗浄用 (専用) | 17. | 水枕 ※ アイスノンに変更 | 栄養剤注入中、頭部と顔が熱くなったときに用いている |
18 | アルコールティッシュ
| 介護者の手の消毒やベッドの手すりなどを拭いている |
.19. | バスタオル
| 汗をかくのでシーツの上に敷しいている。身体のずれなおしに便利である |
20. | 固形せっけん
| 便で汚れた下着など下洗いには最適である |
21. | ベッド関係
| エアマット:床ずれ防止用
体位変換の際、背中の片側に入れるマット (ビーズ入り)
お尻とふくらはぎの間に入れるマット (ビーズ入り) |
22. |
ゴム手袋 | 汚物の下洗いの時、使用する |
23. | 極薄ビニール手袋
| 下の世話をする時、使用する |
24. | 横シーツ(防水)
| ベッドのシーツに直接汚れがつかないように、お尻の部分に縦90cm横140cmの横長防水シーツを敷いている |
| その他
| 寝たきりのため、夏は特に背中に汗をかくので、丸首シャツの前の部分をハサミで縦に切り開いて
上からかぶせるように着せて入る。
背中に当たる部分は普通のタオルを敷き、取り替えている。 したがって、寝間着は上からかけている (図1)
→ 汗をかかなくなったので、通常の衣類
足が冷たいときは、ソックスをはかせている。
その際、ソックスのゴムの部分を一部切っておくと、足首が締めつけられない (図2) |
9.排便・排尿等記録表(抜粋)
※ ラキソベロンは下痢になり易いので、酸化マグネシウムに変更している
(脱水症の原因にもなる)
日付 | 時間 |
便or尿の量/形状/状態 ( くすり ) |
栄養剤など注入量及び時間 |
症 状 | 10/17 |
8:30 22:20
| 便
ラキソベロン | 普通量
やわらかい
18滴 | 食事 9:25~13:30
水分 15:30
食事 18:05~22:10 | 栄養剤
400mL
水分 50mL
テゾン 100mL
水分 50mL
水分 130mL
栄養剤 400mL
水分 50mL
テゾン 100mL
水分 50mL | 水枕、冷えピタ使用
6:00 強いケイレン | 10/18 |
11:00
22:30
| 便
ラキソベロン | 多量
普通
17滴 | 食事 9:13~13:40
水分 15:20
食事 17:50~22:00 | 栄養剤
400mL
水分 50mL
テゾン 100mL
水分 50mL
水分 130mL
栄養剤 400mL
水分 50mL
テゾン 100mL
水分 50mL | 水枕、冷えピタ使用
2:30 強いケイレン | 10/19 |
12:10 22:30
| 便
ラキソベロン | 普通量
普通
18滴 | 食事 9:20~13:25
水分 15:40
食事 17:40~21:45 | 栄養剤
400mL
水分50mL
テゾン 100mL
水分 50mL
水分 130mL
栄養剤 400mL
水分
50mL
テゾン 100mL
水分 50mL | 水枕、冷えピタ使用
3:30 強いケイレン | 注1 食後のフラッシュ時前に注入するケイレン抑止薬は毎回一定量のため省略。
また、尿も多量のため省略。
注2 便の状態は自己流の表示となっている。
普 通=泥状の軟便
柔らかい=水便に近いゼリー状
固 い=固形が混ざっている
注3 食事注入時に排便があったときは、食事を一時中断する。
(栄養剤注入時間にはその時間も含まれている)
※ 食事の注入時間、体温、おむつ交換、体位変換などはそのつどメモ用紙に記入し、あとで記録表に転記している。
特に体位変換は、おむつ交換時に向きが分からなくなることがあるので、特製カードを卓上において確認している。 ※ 現在、ノートに直接記入している。
おわりに
以上が、私の自宅介護の実態ですが、介護していて感じたことは次の点です。
1) 介護保険制度により各種のサービスが受けられ大変助かっていることも事実ですが、要介護5になると介護は24時間休みなしに近い状態になりますので、どうしても介護者の休日を組みこまないと介護者は体力的に持ちません。特に介護者自身が高齢ともなればなにかしら病気を抱えており、通院などのためにも休日は必要と思います。
また、仮にショートステイに預けるにしても、近くに入院できるショートステイがなく、かつ寝たままの状態で搬送できる車も少なく、利用することもそう簡単には出来ません。
尚、特養ホームは胃瘻を設置している人はその管理が医療行為に当たるということで、短期入所も出来ません。
2) 食事介助では大変苦労しましたが、PEGにより栄養補給が家族でも簡単にできることにより、家族の負担が大幅に減少していることは確かです。
3) 介護していて負担に感じることはありません。それは介護者である私が納得のいくようにやっているからだと思います。しかし、敢えて言えば昼間の手足の軽い震えに加え、ここのところ連日のように深夜不規則に身体全体に強度のケイレンの発作があり、ベッドの軋む音で起こされることで、少々きつく感じております。 ※ ケイレン抑制剤投与により解決
4) 以上3点は介護者の立場について申し述べましたが、今後一番に考えたいことは、患者である妻が少しでも体調を維持するために、車椅子の生活をなるべく多くするよう努力したいということです。福祉の先進国、デンマーク・ノルウェーでは「寝たきり」という言葉さえないようです。
最後になりましたが、私の介護は自己流の部分が多いことと思います。皆様からのご指導、ご批判など頂ければ幸いです。
2001年11月 記 (2005年7月一部変更) 参考
「人生90年時代の老い方、死に方」
著者 斉藤芳雄 (発行時:教育史料出版会)
新潟県大和病院内科病棟から61名の退院後を調査したもの |