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第4回沖縄県胃瘻研究会(PDNセミナー)

特別講演

石原淳先生
座長・当番世話人 中頭病院 消化器内科 石原淳先生

1.前橋赤十字病院 外科部長 小川哲史 先生
    「PDNを通じたPEG地域連携の実際」 まんなかだぁ~れ?

小川哲史先生
前橋赤十字病院 外科 小川哲史先生

まず、群馬県の紹介から始まりPDN活動と切り離せない群馬県のNST活動の歴史、2004.2設立された群馬NST研究会の活発な活動歴を紹介。一つの施設だけの活動では、限界があるとして地域一体型NSTの確立を説いた。連携施設の医療従事者の知識とスキルアップ、「顔と人柄の見える連携」を目指し、2006.1PDN群馬設立。群馬県内各医療圏でPDNセミナーを開催。PDN実技セミナーでは、テーブルを囲んだ小人数のグループ単位でPEGの管理・トラブル解決法等の実技指導を行っているとのこと。また、医療関係者のみならず、前橋PDN市民公開講座(2008.3.15)も開催。連携ネットワークを構築する目的でまず、人材育成の中心となる世話人の指名、NST専門療法士の資格を持つ者の中からインストラクターの養成も行っており群馬県内で100人養成することが目標。前橋胃ろうネットワークを作り地域連携パスを導入、2009.1からは、静脈認証セキュリティーを利用したインターネット患者データベースを構築する見込みで未来へ向けて大きな夢のあるご講演であった。沖縄県でも胃瘻患者さんは、増加の一途であり、今回の講演内容を参考とし各医療圏でネットワークの構築に取り組むべきとの認識を新にした。

伊東七奈子看護師
前橋赤十字病院 NST 伊東七奈子看護師

2.前橋赤十字病院消化器病センター病棟看護係長 伊東七奈子 先生/当院NSTにおける“ナースのお仕事”「PEG症例と看護師の役割」と題して2002.11設立された前橋赤十字病院NSTのあゆみと現在のNST活動についてのご講演であった。

NSTナースの仕事として、1.栄養管理計画書の作成、2.PEG症例の管理、3.HEN移行患者の退院時指導、 4.口腔ケア、5.摂食嚥下機能療法を上げ、栄養管理計画書は、電子カルテで栄養管理、褥瘡、口腔状態の評価を同一画面で一括入力。全入院患者にスクリーニングと計画書を作成し、週に1回の定期的評価を行っているとのこと。看護師のスクリーニングでNST管理が必要な場合は、NST介入となる。栄養管理計画書もNST管理の有る無しで入力フォームを分けている。栄養管理実施加算の算定率は、徐々にアップし現在は、ほぼ100%。褥瘡、口腔ケアチームとも連携し、よい成績を上げている。PEG症例は、コメディカルが管理するPEGクリニカルパスを導入した結果、経腸栄養剤の開始時期の短縮、抗生剤投与期間の短縮、合併症の減少というアウトカムが得られたと。また、HEN移行患者の退院時指導もNST看護師が行っている。更に口腔ケアの重要性を実際の症例の写真で分かりやすく説明して頂いた。

読本まんなかだ~れ?
2008年3月15日の前橋PDN市民公開講座で作成した読本。今回の沖縄PDNセミナー参加者全員に配布された。

看護師が行う摂食嚥下機能療法算定も積極的に行っている。NST管理の患者さんが退院するときには、栄養アセスメント、ケアプラン、具体的コメントを付け加えた詳細なNST栄養サマリーを作成している。以上の様にNSTに於ける看護師の役割は、非常に大きく責任も重大であると同時に、非常にやりがいのある仕事であるとのご講演であった。専門看護師としての自信に満ちあふれた講演内容であり沖縄の看護師にも少なからず活力を与えたと思います。しかし、この様な多様な仕事を十分に熟すには、通常看護業務との兼任では、不可能であり、前橋赤十字病院では、NST業務を行う看護師に半日フリーの時間を与えているとのコメントもありました。

今回の特別講演からもPEGとNST活動は、切り離せない関係にありPDNセミナー参加者は、NST活動にも加わるべきであることがよくわかる。NST関係者が多数PDNセミナーに参加して頂くためにも日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)の認める研究会への認定申請(※2年分の抄録をJSPENに提出、学会誌に掲載される。)が必要だと考え今回、世話人会に議題提出したところ、満場一致で承認が得られた。