HOME > PDNセミナー > セミナーレポート(関東) > 第2回東京(豊島・台東・荒川)PDNセミナー

第2回東京(豊島・台東・荒川)PDNセミナー

開催日時

平成20年9月27日(土) 14:00~17:00

開催場所 荒川区医師会館 4階
対象(職種等)

医療・介護従事者

目的 PEGを正しく理解するため。関連または近隣施設との連携のため。症例発表。
参加人数 74名

 開会挨拶:木村病院院長 木村厚先生

 教育講演「胃瘻の適応について」

 司会:長汐病院院長 長谷部正晴先生

 演者:木村病院外科部長 野中倫明先生

 共催メーカー ミニレクチャー(製品展示:3階 小会議室)

 一般演題 司会:東京女子医科大学東医療センター外科 勝部隆男先生

  講演①半固形化栄養法での在宅介護支援 ~安心できる在宅介護のために~

     木村病院看護部 猿田桂子先生

  講演②当院における簡易懸濁法の導入

     木村病院薬剤科 宮谷真紀子先生

  講演③最近経験した胃瘻カテーテル交換における瘻孔損傷・汎発性腹膜炎の2例
                 ~胃瘻カテーテル交換時のトラブルの対処法について~

     岡田病院外科 笠巻伸二先生

 質問コーナー 司会:岡田病院副院長 岡田豪先生

 閉会挨拶:木村病院院長 木村厚先生

 次回世話人挨拶:浅草寺病院 崔勝隆先生

アンケート結果(PDFファイル)

●教育講演

演者の野中倫明先生
演者の野中倫明先生

野中先生は、御自身の胃ろうとの出会い(小児から高齢者まで)を示しながら、先天性食道閉鎖症や胃食道逆流症(GERD)と胃ろう造設についての関連を症例を挙げて解説された後、木村病院でのPEG症例を紹介。胃内圧の上昇に伴う胃食道逆流で肺炎を繰り返していたため、胃ろうを経由して空腸栄養チューブに変更したことで在宅療養が可能になった方、TPNによる栄養投与と減圧胃ろうの併用でがん末期をご家族・知人と過ごして永眠された方などの経過を通して、以下のようにまとめをされた。


<当院PEG症例のまとめ>
  • ・PEGの施行に当たり、その適応については事前に慎重に検討されなくてはならない。
  • ・PEGは十分なるインフォームド・コンセントの下に、過剰な期待を持たせることなく、患者及び家族にとって有用な手術でなければならない。
  • ・PEG施行後のGERDやSMA症候群などに迅速に対応しなければならない。
  • ・栄養投与のみならず、消化管減圧としてのPEGも、有用な場合がある。

司会の長谷部正晴先生
司会の長谷部正晴先生

続いて地域医療連携についても言及、問題点やPEG施行が不可能な状態で搬送されてきた症例を挙げながら、『状態の良いときに胃ろうを造っておけばよかったのに…』という後悔を残さないためにも、胃ろうの適応、造設時期の判断と地域連携の必要性を強調された。

そして、『患者の家庭状況や社会的背景に注意の上、密接な医療連携の上に、在宅療養の可能性、老人保健施設入所の可能性を探る必要性がある』と述べられ、医学的な適応の視点のみでPEGを施行し、地域医療連携の不備が一部の患者・家族に苦痛を与える結果にならないように、と結ばれた。まさに、前回の講演で長谷部先生がテーマとされた『まず、害の無いように』という医療の鉄則は、密接な地域医療連携体制にも当てはまるようだ。

前へ123次へ