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シリーズ 胃瘻栄養で半固形化栄養材を使いこなす!

ミニミニレクチャー 復習しよう! 栄養剤の固形化と半固形化

PDN通信 32号 (2010年7月発行) より

本シリーズ第2回では、市販製品の紹介に主眼をおいたため、寒天による固形化についても、<形状が液体でない栄養剤・濃厚流動食>という括りで、半固形化との区別なく扱うことをおことわりしました。

しかし、寒天と増粘剤では、その物性が異なります。個々の患者さんに適しており、介護者にも配慮した栄養投与方法を考える上で知っておきたいことを、蟹江先生のミニミニレクチャーでお届けします。もっと詳しく知りたい方は、蟹江治郎先生のホームページを御覧下さい。

(PDN通信編集部)
蟹江治郎
監修:ふきあげ内科胃腸科クリニック院長
蟹江治郎

1.半固形化と固形化の違いを教えてください。

半固形化栄養剤とは、液体と固体の両方の物性を持ち、液体より固体に近い半流動体であり、液体栄養剤の問題点を軽減すべく、粘度や硬度を保持させたものです。

一方、固形化経腸栄養剤とは、液体の栄養剤を寒天などでゲル化(流動性を無くして固形化)し、“重力に抗してその形態が保たれるもの”です。物性の範疇としては半固形化に属しますが、おもに硬さにより効果を得ようとする物性であり、粘度増強による半固形化とは異なる形状となります。

ただ単に寒天でゲル化することが固形化ではなく、プリン状になるまでの硬さにゲル化したものが固形化栄養です。この硬さにより注入した後に粥状となり、経口摂取した食事の胃内容物に近い物性となるのです。

ここが粘度増強による半固形との違いといってよいでしょう。

図1 固形化と半固形化の比較

2.なぜ固形化に寒天を選んだのですか?

経腸栄養剤の固形化をするには、その固形化剤として安全な食品であることが必要です。

寒天以外にも、ゼラチン、全卵が候補になりましたが、以下の条件を満たすものとしては、寒天が最も適当であると判断しました。

表1 各固形化剤の比較
条件 粉末寒天 ゼラチン 全卵
安価 ×
入手が容易
調理が容易
硬度調節が容易 ×
低カロリー ×
粘度を増さない ×
体温で溶解しない ×

3.寒天ではなく、トロミ剤で固形化してはダメですか?

胃内の栄養剤の形状が液体ではない、という点では、トロミ剤でも得られるメリットは有ります。

一方、寒天による固形化経腸栄養剤は、栄養剤の付着性を上げることなく、ゲル化(流動性をなくして固形化)を得ることが特徴です。付着性が少ないということは、注入時のカテーテル内の抵抗が減るため、注入時の力は少なくてすみます

図2 トロミ剤ので固めた場合と寒天で固めた場合の比較

4.“自分で調理する”寒天固形化栄養での水分補給の方法は?

固形化栄養を自分で調理する場合は、追加の水分補給は不要です。

固形化調理においては、患者さんが必要とする水分を寒天溶液として栄養剤と合わせて固めるので、「水分を入れてはいけない」のではなく、注入の必要がないのです。

図3 寒天固形化栄養での水分について

5.“市販されている”寒天固形化栄養での水分補給の方法は?

市販の寒天固形化栄養(ハイネゼリー)を使用する場合は、別途水分補給が必要となります。

この場合は、液体栄養剤による弊害の有無、自前での寒天調理が可能かどうか(コスト、マンパワー等の条件)により、水分の補給法は異なります。

図4 市販されている寒天固形化栄養での水分について

参考・引用

経皮内視鏡的胃瘻造設(PEG)業績紹介のペ-ジ Copyright©2002 ふきあげ内科胃腸科クリニック Allright reserved

「胃瘻PEG合併症管理と固形化栄養の実践」 5/29 第1回愛知県PDNセミナー 講演資料

PDN通信 32号 (2010年7月発行) より