第25回PEG・在宅医療学会学術集会

2020年9月19日(土)
国際医療福祉大学 東京赤坂キャンパス

会長挨拶

第25回PEG・在宅医療学会学術集会 会長 鈴木 裕(国際医療福祉大学病院 副院長 消化器・乳腺外科 教授)
第25回PEG・在宅医療学会学術集会
会長 鈴木 裕

(国際医療福祉大学 国際医療福祉大学病院 副院長 消化器・乳腺外科 教授)

令和2年3月16日(月)

 このたび第25回PEG・在宅医療学会学術集会の大会長を拝命いたしました国際医療福祉大学外科の鈴木 裕です。過去、東京におきましては、恩師である故鈴木博昭先生(第3回(1998年))、田尻久雄先生(第13回(2008年))、北川泰久先生(第18回(2013年))増田勝則先生(第19回(2014年))が会長を務められました。今回、国際医療福祉大学赤坂キャンパスで2020年9月19日に学術集会を開催いたします。また、学会翌日にPTEG 研究会を同会場で行います。

 日本は世界に類を見ない超高齢化を迎え高齢者医療が問題になっています。医療のゴールが生存期間を延ばすことに終始した時代から、確実に患者さんのQOL重視に変わってきています。また、高齢者に関しては、医療の在り方そのものまでもが問われ始めています。そんな中、突如としてPEGが社会問題として新聞やお茶の間で話題になりました。いわゆるPEGバッシングです。振り返ってみると、報道の内容には、嘘ではないけれどもかなり恣意的な匂いのするもの、かなり賛同できるものなど様々でした。あの報道の真の意図は問いませんが、国民にPEGは良くないもの、されたくないもの、忌み嫌うものといった負の印象を強く植え付けられたことは確かです。大部屋に意思表示の出来ないお年寄りが何人もPEGで栄養を行っている光景は医療に不慣れな一般の人々には相当のインパクトを与えました。マスコミは実際の現場をそのまま放映したと主張されるかもしれませんが、事の良し悪しに関わる議論をするとき、幸せそうでない(辛そうな)患者さんのみを抽出する手法は学問的にも倫理的にも問題があります。その結果、国民に大きな誤解を与えました。

 しかし、今、PEGに携わる医療者に求められているのは、PEGバッシングを批判する事ではなく、逆にPEGバッシングの指摘を真摯に受け止め、次に結び付けることではないでしょうか。もしPEGが患者さんを苦しめているとしたらPEGは見直されるべきです。しかし、具体的にどのように見直すかなどは相当複雑で難しい問題です。この難題に立ち向かうことがPEG・在宅医療学会の使命と思います。従来の医療の枠を超えて、生命倫理、在宅医療、地域連携、医療経済などの総合的な視点からの検討が必要となります。PEGに関わる医療は、日本の高齢者医療の縮図なのかもしれません。

 私見をひとつ記させて下さい。ここ10年でPEGを取り巻く環境は大きく変わりました。PEGは食べることを断念する代名詞から、逆にもう一度食べられるようにする方法論に変化しました。また、在宅医療の切り札にもなりました。ただ、ここで忘れてはならないことは、PEGの対象者は、嚥下障害のみならずいくつかの障害を併せ持っていることが多くPEGで病気が完治することはほとんどないことです。つまり、PEGは、治すことだけではなく癒やすことも併せ持っている医療ということです。

 本学術集会では、PEGの生命倫理、具体的な適応の指標、実際の現場での問題点と展望、医療事故分析、在宅医療の方向性、新しい投与方法などについて熱く議論して頂きたいと思います。

 ご存知のように、赤坂は日本を代表する歓楽街です。食べ物もお酒も間違いなく超一流です。多くの皆さんのご参加を期待いたします。


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