Q3.食べられるという先生と反対する先生がいます。食べたがっているので、一口でも食べさせたいと思いますが、どうしたらいいでしょうか?

Q3-1:今だけ食べられないのでしょうか? この先もずっと食べられないのでしょうか?

A:全員に当てはまるわけではないが、ごく雑にいうと食べる練習が出来る、出来ないは体調が安定しているかどうかと、安全に飲むような口や喉の状態をもっているかどうかです。

体調はピンピンしているが、嚥下にとても強い障害がでている人は直ぐ食べるのは難しいです。しかし、体調が安定している人の良い所は、訓練を持続して結果が出るかを見ていけることにあります。逆に体調はやや不安定でも、嚥下の調子が食べられなくないほど悪くない人は、方針が悩ましいことがあります。その不安定さの度合いにもよりますが、少なくとも安全に食べられる条件を見つけて食べさせてみて、異常が出ないかをトライしながら再評価するしかないと思います。

また、体調が不安定で嚥下機能も悪い。もしくは進行の早い進行性の疾患で、嚥下も悪い時どうするか。そういう方は、ほっておいても唾液を誤嚥して危ないので、まずは口とか喉のケアをして誤嚥性肺炎にならないような全身ケアを保った上で、体調が良くなってくるかをみるのが大事です。

コラム:別の視点

今日にも明日にもと危ない場合、個人的には本人や家族の希望を最大限に受け入れる方策を考えます。極端に言うと自分の父親が今日明日で死にそうでゼイゼイしているが、酒を飲みたいと言ったらトロミもつけないで飲ませるかもしれません。こう云う場合は家族だけでなく、主治医、訪問看護とよく情報交換すべきです。何も食べずに細々と生きること自体は、良いとか悪いとか他者に評価されるものではありません。一言でまとめるとしたら、残った人が後悔しない生き方を“考える”過程が大切だと思います。

例えば、全然食べられない重症の人が、練習をして少し食べれるようになり、肺炎等で亡くなられても、上手く食べるところまでは行かなかったが診てもらえて良かったと、後で連絡をいただけることは少なくありません。こう云うように思えるかどうかが大事なのではないかと感じます。

胃ろうは良くないという昨今の報道には、過剰な印象があります。胃ろうを上手く使えていないことは、良いことではないにしても、胃ろうのおかげで生きている人はたくさんいます。その胃ろう自体が悪いと言われたら、胃ろうを作った人のご家族がどう思うかを考えてから報道に至るべきでしょう。

Q3-2:食べたがっているのに食べさせないのはかわいそうな気がする。何がいけないのですか?

A:かわいそうという視点と危険かどうかという視点、その他実際の嚥下の状態を適切に判断されているかどうかなどの視点が混在しているので冷静に考える必要があるでしょう。

前に嚥下障害が悪かったので胃ろうのままになっているが、実際には嚥下機能が改善していれるのであれば、食べることは可能でしょう。食べさせるかどうかの判断は、以前はともかく今の状態次第だと思います。ただし、その日の体調によって食べられたり、食べられなかったり、波がある場合にはそのあたりの評価も重要です。

しかし、本人の希望があるからといって、嚥下障害の方にいきなりアワビを食べさせる人はいないと思います。どれくらいなら安全に食べることができるのかを判断することが大事です。

Q3-3:経口摂取をさせたいのですが、否定的な意見をもつ先生も含めて、家族も一緒に話し合って欲しいのですがなかなかうまくいきません。どうしたらよいでしょうか?

A:人の意見を変えたいとか、聞く耳を持って欲しい場合、理解してくれる人の場合は普通に話せば良いと思います。最初から理解してくれない時には説得してもうまくいかないことのほうが多いです。その場合、テストなり診断なりで、全く食べられない程の喉ではないという根拠をもってから相談すると良いと思います。

根拠が有って、食べられるかどうかを示せるかどうかであり、気持ちだけではトラブルになるかもしれません。

嚥下の訓練をする人は食べさせることが目的で行っていますが、体調管理する人は嚥下の訓練を行うために体調を管理しているわけではありません。そのため安全を考えて禁食という場合もあります。ただしここで考えなければいけないのは、禁食にしたら確実に安全なのか、さらには仮に安全であればそれで良いのかというところでしょう。

嚥下の機能評価を行った場合には、関連する方が皆で同じ情報を共有できるようにすることが大切です。出来れば実際どうするのかも患者を目の前にして、その場で話し合えると良いでしょう。毎回でなくても、初回だけでもそのような場が設けられると、その後の情報交換がとてもスムーズになると思います。

コラム:チームアプローチ

チームアプローチは色々な職種が揃わないとチームにならないと云う事ではありません。例えば歯科医師と歯科衛生士だけで嚥下リハビリを行っても足りないところがあるので、訪問看護師やご家族に嚥下の訓練をお願いするとか、足りないところをお互いに埋めるようにすると、その患者にとってのチームが出来ていきます。

在宅を考えると、通常関わっている職種が少ないので、職種を増やそうと最初から考えないようにして、今いる人材だけで何とか頑張れるかをまず考え、足りない時に増やすことを考えるのが良いでしょう。人が多くなって、船頭が多すぎるのも良いとはいえません。

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はじめに

Q1.まだ寝たきりなのですが、ベッドサイドでできる簡単なテストはありますか?

Q2.身体の状態が安定してきたので、食べられるかどうか検査をしようと思います。どんな検査がありますか?

(→)Q3.食べられると言う先生と反対する先生がいます。食べたがっているので一口でも食べさせてあげたいのですが、どうしたらいいでしょう?

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