Q1.今は食べてはいけない、と言われていますが、また食べられるようになるために、訪問ナースでもできることはありませんか?(看護のテクニックが必要なこと)

Q1-3:唾液が少なくなる理由は何ですか? 多くするにはどうしたらいいですか? 食べ物はまだ使わないように言われています。

A:唾液の低下には以下の原因が考えられます(※文献4)

  • 経口摂取中止(食事を見る、嗅ぐ、音を聞くことをしない、口腔の触覚・味覚を使用する機会の減少)
  • 脱水(発汗、嘔吐、下痢、高血糖など)
  • 薬剤の副作用、(抗うつ剤、抗不安剤、血圧降下剤、利尿剤など)
  • 口腔運動低下(麻痺、義歯不適合など)

また、口腔の乾燥の原因として、放射線治療やシェーグレン症候群、唾液腺疾患などもあります。さらに口腔乾燥を助長させる要因として、常に開口している状態、室内の大気乾燥が考えられます。口腔乾燥の原因が重複していることも多いですが、可能な限り原因に沿った対応法を検討します。以下が対応法です。

  • 脱水が疑われる場合は水分補給の必要性などを含めて主治医へ相談します。
  • 薬剤については処方の時期を確認し、医師は勿論ですが処方された薬局の薬剤師にも相談してみましょう。
  • 口腔の触刺激が少ない場合は、歯肉マッサージや口腔内への刺激により唾液の分泌を期待します。
  • 頭頸部が伸展している場合は開口し易いので、負担のない程度に枕をしたり、座位の時間を設けます。
  • 開口が改善しない場合はマスクを使用する場合もあります。
  • 部屋が乾燥しているようなら加湿器も検討します。

【歯肉マッサージ】(※文献5)
図7 歯肉マッサージ

ベッドの場合は頭部が安定する状態で枕をして、支援者の非利き手で前額部をあてる。あるいは支援者の非利き手で後頭部を支えて安定を確保します。赤口唇が乾燥している場合は、赤口唇を湿潤させてから行います。赤口唇が過剰に広がらないように、歯と歯肉の境目に支援者の第2指の腹をあてます。不快刺激にならないように、最初はゆっくりと歯と歯肉の境目を前歯から臼歯に向かってこすりますが、リズミカルに早く行う方が良いとされています。刺激するのは臼歯に向かう時だけで、前歯に戻るときはこすりません。最終的には左右上下の4区間にある、前歯から臼歯を刺激します。こするときは、頭部が揺れないように非利き手で安定位を保ち、唾液の分泌を確認し、開口嚥下や過剰な量の唾液嚥下に注意します。


【保湿剤の使用】
図8 斜度のある円(ポリプロピレン、ARS材)で比較。使用15秒後、右の液状スプレータイプは円の枠外へ流出も、左のジェル状タイプは円枠内に停滞している。

口腔乾燥の対症療法として口腔用保湿剤があり、ジェル状と液状の2種類に大別されます。ジェル状は口腔への停滞性に優れ、液状と比べ長時間の保湿が可能。口腔内に塗布して使用します。液状はスプレータイプなど手軽に使用できるタイプもありますが、保湿効果がジェルに比べて短いのが特徴です。また、液体は咽頭方向へ流れ易いため、嚥下障害がある場合は誤嚥に注意します。

写真は、斜度のある円(ポリプロピレン、ARS材)で比較。使用15秒後、右の液状スプレータイプは円の枠外へ流出も、左のジェル状タイプは円枠内に停滞している。

嚥下困難者支援食

・ソフト食(あいーと等)   ・ムース食   ・ゼリー食品

リハビリテーション関連製品

口腔リハビリなど

 

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