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Chapter1 PEG
6.合併症・トラブル 3.カテーテル管理
②ボールバルブ症候群


帯広厚生病院第3内科 柳澤秀之

柳澤秀之
記事公開日 2011年9月20日

1.発生機序

バルーン・チューブ型カテーテルの先端バルーンが、胃蠕動により幽門から十二指腸に排出され(図1-1)、十二指腸に嵌頓してしまう状態である(図1-2)。これにより、十二指腸の閉塞が発生し、胃液の腸管への排出が妨げられ、胃拡張をきたす。

胃蠕動により幽門から十二指腸に排出され(図1-1)、十二指腸に嵌頓してしまう状態である(図1-2)
図1

2.症状

繰り返す嘔吐。吐物は、殆どが胃液で、栄養は通常に滴下できているにもかかわらず、胆汁や栄養剤が混入しないことが多い。また、胃部より胃液が漏出を繰り返す場合もある。

3.原因

先端バルーンが蠕動で十二指腸まで移動してしまうことで起こる。胃瘻の造設位置が、前庭部に造られた場合に多い。先端バルーンが蠕動で幽門を超えやすいため、外部ストッパーがないもの、外部ストッパーがゆるんで、ずれている場合に発生しやすい。

4.診断

外部ストッパーの位置が、ずれていること。嘔吐などの症状を繰り返すことで気がつく。問題は、その病態であるかということに気がつくことにある。

5.検査

下記の検査で、先端バルーンが十二指腸に落ち込んでいることにより診断できる。

検査手段:CT、造影検査、内視鏡検査

CTでは、先端バルーンが十二指腸球部に嵌頓していることで確認される。造影検査では、胃が造影されず、十二指腸下行脚から造影される。内視鏡検査では胃内に先端バルーンが認められず、十二指腸に認められる。

6.治療

透視下もしくは内視鏡観察下で、バルーンを虚脱させて、胃内腔に引き戻し、バルーンを再度膨らませて、外部ストッパーの位置を調整して固定する。外部ストッパーの位置は、皮膚から1cm程度の余裕がある程度で固定する。外部ストッパー・カテーテルやバルーン自体に消耗がある場合にはカテーテルごと交換する。

7.予防

造設位置は、極力前庭部を避ける。外部ストッパーの位置をずれないように管理する。ストッパーの固定が緩い場合には、糸やテープで固定するか、バンパー型やボタン型への交換も検討する。(図2

ボールバルブ症候群の予防
図2

文献

  1. 小川滋彦:PEGのトラブルA to Z.PEGドクターズネットワーク、東京、p76-80

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