Q1.家の中で寝てばかりいます。食べるための体力をつけたいのですが、何から始めたら良いのでしょう?

Q1-8:食事環境の工夫が大切と言われますが、どんな事に気をつけるのですか?

A:食事環境の工夫とは、対象者の方の身体機能を考慮して、安全に食べられるために食事に関わることを調整していくことです

食事環境とは、対象者の方が食事場面で関わること全てになります。1つは、ベッド上や車いす等の食事を行う座位姿勢の調整になります。2つめは、取り込み等の食事に関わる動作の調整になります。テーブルや食器の選択等が考えられます。3つめは、食事場面に関わる調整になります。食べる場所や介助者の有無等が考えられます、これら全てのことが食事に関わる環境になります(図13)。食事環境を調整することにより、対象者の方の摂食嚥下機能を高め、少しでも安全に食事がとれることを目標にします。そのために対象者の方の食事に関して、何が問題を起こしているかを評価することが必要になります。

図13 食事環境とは
図13 食事環境とは

調整例として、足部を床面に接地させて姿勢の安定と身体の前方への動きを促します。テーブルの高さと身体の距離を調整し、食事が取り込みやすい位置に調整を行います。カットアウトテーブルを使用し、上肢を支持することで体幹保持を安定させます。一口量が多かったり早食いの場合は、小さめのスプーンを使い一口量が多くならないようにします。食事に集中しにくい場合は、個別になるような食事場面を設定します(図14)。

図14 食事環境調整例
図14 食事環境調整例
●車いすの調整●足部を床面に接地●カットアウトテーブルの利用
●食事に関わる道具(食器等)の調整 ●食事に集中しやすい場面設定

食べ方には個人の特性あり

 食べ方や食事姿勢には個人の特性があります。例えば、早食いや一回の摂取量の多さ等の個々の状況は、本人無自覚に行っていることが多いです。ただ、摂食嚥下機能が低下した場合にはこのような無自覚な部分が問題として顕在化し、摂食嚥下機能の回復を遅らせて、経口摂取のリスクを高める可能性があります。そのため、実際の食事場面を確認し、本人に食べ方の問題に気づかせて、現状の摂食嚥下機能に合わせて食べ方等を再調整していくことが必要になります。

食事の準備が重要

    

まず、食事を行う前には、覚醒を高めておく必要があります。覚醒が低い状況では、嚥下活動自体が低下するだけでなく、気道防御機能も低下し、嚥下に関わるリスクも高まります。

実際に食事を始める前には、様々な準備が身体内部で行われます。例えば、実際の食べ物を見たり、匂いをかいだりすることより、唾液が分泌された消化器官が活動を始めます。このような準備活動は、視覚や嗅覚等の感覚情報を利用して行われます。そのため、食事の前には、口腔運動や頸部の運動のような身体運動の準備運動と共に、食べるための意識付けを促すことが必要になります。

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