Q1-2:誤嚥のテストと不顕性誤嚥のテストとはどのようなものでしょうか。
A1.誤嚥のテストには、反復唾液嚥下テスト(RSST)、改訂水飲みテスト(MWST) などがあります。
反復唾液嚥下テスト(RSST)
家族でも安全に出来るテストに「RSST (repetitive saliva swallowing test )」があります。
このテストの方法は、喉仏を指で触って30秒、時間を計りながら「唾を飲んでください」と言って指示する(図1)。30秒で3回以上唾を飲めたら誤嚥の可能性は低いとされます。
このテストの良い所はすごく簡単で道具が要らないこと。弱点は意識障害とか認知症等の影響で「唾を飲んでください」という指示に従えないと実施できません。
改訂水飲みテスト(MWST)
その他に、改訂水飲みテスト(MWST : modified water swallow test)があります(図2)。
水飲みテストの結果が良くないことは以下の状態です。飲む反射自体が起こらないこと。むせてしまうか、むせなくても声がガラガラ声になる。ガラガラ声にならなくても、呼吸が変化する。例えば気管に入ってきても上手くむせられなくて呼吸が乱れるとか、息苦しさを訴えるとか、喘鳴があるとか、そういうものがあったら誤嚥疑いと判定します。そういう所見がなく3回繰り返して3mlの水分を飲み込めた場合に誤嚥の可能性は低いと判定します。
A2.不顕性誤嚥のテスト
不顕性誤嚥とは誤嚥しても、うまく「むせ」が起こらない人です。
不顕性誤嚥のテストには咳テストがあります(図3)。超音波式、もしくはメッシュ式ネブライザーにクエン酸を入れて口から吸わせ、それで「むせる」かどうかのテストである。吸わせ始めて30秒以内に1回でも咳が出たら不顕性誤嚥ではない可能性が高いと判定します。
クエン酸は有水クエン酸と無水クエン酸があるが、有水クエン酸を使うようにしてください。生理食塩水に1%に溶いたものを使用します。
Q1.まだ寝たきりなのですが、食べられるかどうか、ベッドサイドで出来る簡単なテストはありますか?(東京科学大学大学院 准教授 戸原 玄)
- Q1-1:嚥下評価のテストの前に何をしたら良いでしょうか。
- (→)Q1-2:誤嚥のテストと不顕性誤嚥のテストとはどのようなものでしょうか。
- Q1-3:Spo2で誤嚥の有無を判定できるのですか? また数値で言ったら何%とか言えますか。
- Q1-4:口を開ける力が嚥下に大事だと聞いたのですが?
- Q1-5:嚥下機能の評価時に注意すべきことは?
- Q1-6:本人が眠りがちですが、どのように嚥下機能評価をしたらよいでしょうか。