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Chapter3 静脈栄養
2.中心静脈栄養法(TPN)
2.8 TPN基本液とキット製剤の種類と特徴


仙台市医療センター 仙台オープン病院
消化器外科・一般外科主任部長  及川昌也

記事公開日 2012年7月19日

2021年4月1日改訂

本邦においてはTPN用の輸液がキット化されており、病態に応じてその中から選択可能である。各社より多数の製品が入手可能であるが、本稿ではその特徴および配合されている主な組成について述べる。

1.TPN基本液(表1,2)

1.1 電解質+糖質

高カロリー輸液に用いる基本輸液で電解質と糖を含んでいる。通常は高濃度アミノ酸製剤を混注して用いるためにバッグ容量に余裕をもって作られている。

ハイカリック(1号、2号、3号)、ハイカリックNC(L、N、H)、ハイカリックRF、リハビックス(K1号、K2号)、カロナリー (L、M、H)がある。

ビタミンB1が不足すると乳酸アシドーシスやウェルニッケ脳症を来す恐れがあるため、必ずビタミンB1製剤を併用することが重要である。

ハイカリックはナトリウム、クロールを含まないが、ハイカリックNCはナトリウムとクロールが配合されている(NCはNa、Clを意味している)。

糖質の配合量により、1号、2号、3号またはL、N、Hが選択できる。

また、後発品として登場したのがカロナリーであり、組成はハイカリックと同等である。リハビックスは小児用に開発された製品である。

ハイカリックRFは腎不全用で50%グルコースを基本としており、電解質はカリウムを含んでいない。

表1 TPN基本液
製品 液量
(ml)

(g/容器)
総カロリー
(kcal/容器)
ハイカリック1号(テルモ) 700 120 480
ハイカリック2号(テルモ) 700 175 700
ハイカリック3号(テルモ) 700 250 1000
ハイカリックNC-L(テルモ) 700 120 480
ハイカリックNC-N(テルモ) 700 175 700
ハイカリックNC-H(テルモ) 700 250 1000
ハイカリックRF(テルモ) 250 125 500
500 250 1000
1000 500 2000
リハビックス-K1(陽進堂) 500 85 340
リハビックス-K2(陽進堂) 500 105 420
表2 TPN基本液
製品 液量
(ml)
mEq/容器
Na K Ca2+ Mg2+ Cl
ハイカリック1号 700 - 30 8.5 10 -
ハイカリック2号 700 - 30 8.5 10 -
ハイカリック3号 700 - 30 8.5 10 -
ハイカリックNC-L 700 50 30 8.5 10 49
ハイカリックNC-N 700 50 30 8.5 10 49
ハイカリックNC-H 700 50 30 8.5 10 49
ハイカリックRF 250 12.5 - 1.5 1.5 7.5
500 25 - 3 3 15
1000 50 - 6 6 30
リハビックス-K1 500 5 10 4 1 -
リハビックス-K2 500 - 15 7.5 2.5 -

2.TPNキット製剤

基本液にアミノ酸、脂肪、ビタミン、微量元素を配合して製品化したものがキット製剤である。

2.1 電解質+糖質+アミノ酸(表3,4)

基本液にアミノ酸製剤を追加した製品。

ピーエヌツイン(1号、2号、3号)がある。糖とアミノ酸を2室に分けてあり、使用時に隔壁を開通させて使用する。また、ユニカリックは2016年10月に販売を終了している。

糖質およびアミノ酸配合量によって1、2号液(ピーエヌツインは3号液まで)がある。

ピーエヌツインは1号液から3号液まで総量が異なる(1,000-1,200ml)。

ビタミンは含んでいないので、ビタミンB1の補充は必要である。

表3 TPNキット製剤 電解質+糖質+アミノ酸
製品 液量
(ml)

(g/容器)
アミノ酸
(g/容器)
総カロリー
(kcal/容器)
NPC/N
ピーエヌツイン1号
(陽進堂)
1000 120 20 560 158
ピーエヌツイン2号
(陽進堂)
1100 180 30 840 158
ピーエヌツイン3号
(陽進堂)
1200 250.4 40 1160 164
表4 TPNキット製剤 電解質+糖質+アミノ酸
製品 液量(ml) mEq/容器
Na K Ca2+ Mg2+ Cl
ピーエヌツイン2号 1100 50 30 8 6 50
ピーエヌツイン3号 1200 51 30 8 6 50

2.2 電解質+糖質+アミノ酸+脂肪(表5,6)

糖質、アミノ酸、脂肪を配合した製品でミキシッドのみ販売されている。

L液N液がありアミノ酸は30g/バッグで同じであるが糖質および脂質の配合量が異なる。上室には脂肪、糖質、下室にはアミノ酸、電解質積が配合されている。混注はビタミン剤、微量元素製剤、電解質製剤(ナトリウム製剤、カリウム製剤のみ)のみが可能である。

また、含有する脂肪のため除菌用フィルターが使用できないことも他製剤と異なる点である。

表5 TPNキット製剤 電解質+糖質+アミノ酸+脂肪
製品 液量
(ml)

(g/容器)
アミノ酸
(g/容器)
脂質
(g/容器)
総カロリー
(kcal/容器)
NPC
/N
ミキシッドL
(大塚)
900 110 30 15.6 700 126
ミキシッドH
(大塚)
900 150 30 19.8 900 169
表6 TPNキット製剤 電解質+糖質+アミノ酸+脂肪
製品 液量(ml) mEq/容器
Na K Ca2+ Mg2+ Cl
ミキシッドL 900 35 27 8.5 5 44
ミキシッドH 900 35 27 8.5 5 40.5

2.3 電解質+糖質+アミノ酸+ビタミン剤(表7,8)

ネオパレン(1号、2号)、フルカリック(1号、2号、3号)がある。

ネオパレンにはオーツカMVと同組成、フルカリックにはネオラミンマルチVと同組成のビタミンが1日量で配合されている。

フルカリックは1日容量の1号液(1,806ml)、2号液(2,006ml)は廃止され、1.5倍タイプが発売された。

ネオパレンは、当初カリウムは上室にのみ配合されていたが、隔壁の開通なしに投与された場合を想定し、上下室に均等の濃度になるように変更されている。

フルカリックは1、2、3号液で総量が異なる(903、1,003、1,103ml)。ビタミンはネオパレンでは2,000ml の投与、フルカリックでは1,806-2,206ml(1-3号の液量が異なるため)で必要量が投与されるため、1,000mlまたは1,500mlの投与を長期的に続けると必要量に達しないことを考慮する必要がある。

いずれの製剤もナトリウムは1キット中、50mEq、カリウムは22-30mEq配合されている。

糖質はいずれの製剤も1号液は1キット中120g、2号液は175g、3号液(フルカリックのみ)250g配合されており、アミノ酸は1号液20g、2号液30g、3号液(フルカリックのみ)40gで製造会社による違いはなくなっている。

表7 TPNキット製剤 電解質+糖質+アミノ酸+ビタミン剤
製品 液量
(ml)

(g/容器)
アミノ酸
(g/容器)
総カロリー
(kcal/容器)
NPC/N
ネオパレン1号
(大塚)
1000 120 20 560 153
1500 180 30 840
2000 240 40 1120
ネオパレン2号
(大塚)
1000 175 30 820 149
1500 262.5 45 1230
2000 350 60 1640
フルカリック1号
(テルモ、田辺三菱)
903 120 20 560 154
1354.5 180 30 840
フルカリック2号
(テルモ、田辺三菱)
1003 175 30 820 150
1504.5 262.5 45 1230
フルカリック3号
(テルモ、田辺三菱)
1103 250 40 1160 160
表8 TPNキット製剤 電解質+糖質+アミノ酸+ビタミン剤
製品 液量(ml) mEq/容器
Na K Ca2+ Mg2+ Cl
ネオパレン1号 1000 50 22 4 4 50
1500 75 33 6 6 75
2000 100 44 8 8 100
ネオパレン2号 1000 50 27 5 5 50
1500 75 41 7.6 7.5 75
2000 100 54 10 10 100
フルカリック1号 903 50 30 8.5 10 49
1354.5 75 45 12.75 15 73.5
フルカリック2号 1003 50 30 8.5 10 49
1504.5 75 45 12.75 15 73.5
フルカリック3号 1103 50 30 8.5 10 49

2.4 電解質+糖質+アミノ酸+ビタミン剤+微量元素(表9,10)

エルネオパ(1号、2号)のみが販売されていたが、2017年4月からエルネオパNF(1号、2号)へと変更された。 エルネオパとエルネオパNFの違いは、①ビタミン処方をFDA2000処方とし、ビタミンB1、B6、C、葉酸を増量し、ビタミンKを減量したこと、②微量元素処方をA.S.P.E.N.(アメリカ静脈経腸栄養学会)のガイドラインやESPEN(欧州臨床栄養代謝学会)のガイドラインに準拠させ鉄を減量したことである。 微量元素以外はネオパレンの組成とほぼ同じである。

4室のバッグ製剤で微量元素は2000ml中鉄( 20μmol)、マンガン(1μmol)、亜鉛(60μmol)、銅(5μmol)、ヨウ素(1μmol)(ボルビックスと同成分)が1日量で含まれている。

ビタミンも同様にオーツカMVと同成分が配合されている。つまり1,000ml製剤で微量元素とビタミンがそれぞれ1/2v、1,500ml製剤で3/4v、2,000ml製剤で1v配合されている。従って、1日量以下の投与を持続する場合は注意が必要である。
一方、ワンパルはESPENガイドラインに基づき鉄を減量した製剤であり、既承認のTPN製剤よりも少ない投与液量で1日の所要栄養量を補給可能となっている。

表9 TPNキット製剤 電解質+糖質+アミノ酸+ビタミン剤+微量元素
製品 液量
(ml)

(g/容器)
アミノ酸
(g/容器)
総カロリー
(kcal/容器)
NPC/N
エルネオパNF1号
(大塚)
1000 120 20 560 153
1500 180 30 840
2000 240 40 1120
エルネオパNF2号
(大塚)
1000 175 30 820 149
1500 262.5 45 1230
2000 350 60 1640
ワンパル 1号
(エイワイファーマ)
800 120 20 560 158
1200 180 30 840
ワンパル 2号
(エイワイファーマ)
800 180 30 840 158
1200 270 45 1260
表10 TPNキット製剤 電解質+糖質+ビタミン剤+微量元素
製品 液量(ml) mEq/容器
Na K Ca2+ Mg2+ Cl
エルネオパNF1号 1000 50 22 4 4 50
1500 75 33 6 6 75
2000 100 44 8 8 100
エルネオパNF2号 1000 50 27 5 5 50
1500 75 41 7.6 7.5 75
2000 100 54 10 10 100
ワンパル 1号 800 50 25 8 6 50
1200 75 37.5 12 9 75
ワンパル 2号 800 50 30 8 6 50
1200 75 45 12 9 75
ビタミン配合量の変更
一日量
脂溶性
A D E K
mg μg mg μg
エルネオパ(AMA1975準拠) 1 5 10 2000
エルネオパNF(FDA200準拠) 1 5 10 150
ワンパル 1.25 6.25 12.5 187.5
FDA2000処方 1 5 10 150
一日量
水溶性
B1 B2 B6 B12 C ニコチン
酸アミド
パント
テン酸
葉酸 ビオ
チン
mg mg mg μg mg mg mg μg μg
エルネオパ
(AMA1975準拠)
3 3.6 4 5 100 40 15 400 60
エルネオパNF
(FDA200準拠)
6 3.6 6 5 200 40 15 600 60
ワンパル 10 6.25 10 12.5 250 50 18.75 750 125
FDA2000処方 6 3.6 6 5 200 40 15 600 60
微量元素配合量の変更
一日量
Fe Mn Zn Cu I
mg mg mg mg μg
エルネオパ 1.95 0.06 3.92 0.33 127
エルネオパNF 1.1 0.06 3.92 0.33 127
ワンパル 1.2 0.075 8.17 0.41 159
ESPEN2009 1.0-1.2 0.2-0.3 2.5-5.0 0.3-0.5 100

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