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Chapter1 PEG
3.造設 1.造設手技①分類


くら内科内視鏡クリニック 院長 倉 敏郎

倉 敏郎
記事公開日 2011年9月20日 
改訂2023年4月1日 

1.内視鏡的胃瘻造設法の分類

内視鏡的胃瘻造設法は、以下の2つの造設方法に分類される(表1)。

表1 内視鏡的胃瘻造設法の分類

1.プル・プッシュ法(Pull/Push法)
造設用胃瘻カテーテルを口腔・咽頭を通過させ、胃内腔から腹壁外への経路にて造設される方法。

2.イントロデューサー法(Introducer法)
造設用胃瘻カテーテルを口腔・咽頭を通過させず、腹壁外から胃内腔への経路にて造設される方法。

2.イントロデューサー法の分類

さらにイントロデューサー法(Introducer法)は以下の2つに分類される(表21)

表2 イントロデューサー法の分類

1.イントロデューサー原法(Original Introducer Method)
従来型のバルーンタイプの胃瘻カテーテルが留置される方法。

2.イントロデューサー変法(Modified Introducer Method)
バンパータイプの胃瘻カテーテルが留置される方法。

造設方法の表記の仕方は、例としてイントロデューサー変法(日本コヴィディエン社 カンガルーセルジンガーPEG造設キットあるいはオリンパスメディカルシステム社 DirectイディアルPEG造設キット)のように、造設手技名(商品キット名)を併記するのが望ましい。

<Pitfall>

「ワンステップボタン法」「オーバーチューブ法」「セルジンガー法」「ダイレクト法」という呼称は用いないこと!これらは手技の分類ではなく、市販のPEG造設キットの「キット名」である。従って、本邦では便宜的に通用しても国際的な論文等では通用せず、国際的に通用する普遍的な名称に統一することが望ましい。

<解説>

PEG造設手技の呼称の分類については以下に述べるような経緯が存在する。

PEGの普及に伴い用語の統一が望まれる機運のもと、PEG・在宅医療研究会(HEQ)学術・用語委員会では第4回学術用語委員会において「PEGに関する用語の統一」をテーマとして討議し、34項目の提言が採択され報告を行った2)。しかしながら、新たな工夫による造設キットの開発と普及により造設法の術式についてあらためて整理する必要性が生じており、第9回の委員会では先の報告を踏まえて、「内視鏡的胃瘻造設法の術式」について前回で分類整理が不十分とされた点について討議を行なった。

PEG造設手技に関する前回の提言と問題点

第4回委員会においてのPEG造設手技に関する提言は、提言1:PEGの術式は、口腔内を通過するか否かにより、プル・プッシュ法」「イントロデューサー法」の2種類に分類する。および、提言2:手技の工夫あるいは造設キットの特徴として、「ワンステップボタン法」「オーバーチューブ法」「セルジンガー法」「ダイレクト法」を亜分類の位置付けで呼び方を認める。の2点である。

第9回委員会の討議では各委員とも提言1については従来通りとすることに異論はなかった。しかし、提言2について訂正すべきとの意見が多数を占めた。すなわち、「ワンステップボタン法」「オーバーチューブ法」「セルジンガー法」「ダイレクト法」は手技の分類ではなく、市販のPEG造設キットの「キット名」である。従って、本邦では便宜的に通用しても国際的な論文等では通用せず、国際的に通用する普遍的な名称に統一することが望ましいとして意見の一致を得た。討議の末、表1表2に示されるようなコンセンサスが得られた。

PEG造設手技の用語が統一されることにより、各種の学会・研究会・臨床の現場での用語の混乱がなくなること。さらに、統一された用語により、PEGに関する研究が一層発展することが期待される。

文献

  1. 倉 敏郎、小山茂樹、上野文昭ほか:第9回PEG・在宅医療研究会(HEQ)学術・用語委員会報告. 在宅医療と内視鏡治療14:91-94 ,2010
  2. 倉 敏郎、上野文昭、嶋尾 仁ほか:第4回HEQ学術・用語委員会報告「PEGに関する用語の統一」.在宅医療と内視鏡治療 10:115-124,2006

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