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Chapter1 PEG
7.その他経腸栄養アクセス 1.PTEG


独立行政法人国立病院機構村山医療センター外科
大石英人

大石英人
記事公開日 2011年9月20日

1.PTEGとは

経皮経食道胃管挿入術 Percutaneous Trans-esophageal Gastro-tubing (PTEG/ピーテグ)は、非破裂型穿刺用バルーンRupture-free Balloon (RFB)を用い超音波下に頸部食道を穿刺し頸部食道瘻を造設し、同部から留置チューブを食道内へ挿入し、チューブ先端を胃や十二指腸もしくは小腸までX線透視下に誘導し留置する消化管のIVR (non vascular Interventional Radiological Technique)である(図1)1,2,3)。PTEGは経皮内視鏡的胃瘻造設術Percutaneous Endoscopic Gastrostomy (PEG/ペグ)4,5)の造設が不能もしくは困難な症例に対し、1994年に考案開発された頸部食道瘻造設術であり、PEGと同様に主に経管経腸栄養法および腸管減圧法の目的で用いられる。標準手技では内視鏡を用いず、簡便かつ安全で低侵襲に造設が可能であることを特徴とする。また術後管理も簡便で重篤な合併症の発生が少ないことも特徴の一つである。

図1 PTEGの基本手技の模式図
図1 PTEGの基本手技の模式図2)

2.適応

前述の如くPTEGはPEGの造設不能もしくは困難例に対して考案開発され、PEGの代替手段の一つであり、PTEGの適応を検討する際にPEGの禁忌を理解することは重要である(表1)6,7)。平成23年4月1日より保険診療(C2申請)が認可されたが、これも胃瘻造設が困難な症例に対する手技として条件付けられている。

表1 PEGの禁忌6)

絶対的禁忌

相対的禁忌

  • 通常の内視鏡検査の絶対的禁忌
  • 内視鏡が通過不可能な咽頭・食道狭窄
  • 胃前壁を腹壁に近接できない状況
  • 補正できない出血傾向
  • 消化管閉塞
    (減圧ドレナージ目的以外の場合)
  • 腹水貯留
  • 極度の肥満
  • 著明な肝腫大
  • 胃の腫瘍性病変や急性粘膜病変
  • 胃手術,その他の上腹部手術の既往
  • 横隔膜ヘルニア
  • 出血傾向
  • 妊娠
  • 門脈圧亢進
  • 腹膜透析
  • 癌性腹膜炎
  • 全身状態不良例
  • 生命予後不良例
  • 非協力的な患者と家族

例えば胃全摘術や幽門側胃切除術後などの胃切除後の症例は、PTEG造設の良い適応である。また腹水貯留症例や腹膜透析症例などでは、PEGの瘻孔が造設されにくくPTEGの良い適応である。さらに肝左葉や横行結腸などが腹壁と胃壁の間に介在し、癒着などで臓器が移動せず腹壁と胃壁を密着させることができない症例でも、PTEGは良い適応である。また、食道裂孔ヘルニアや横隔膜ヘルニアおよび横隔膜弛緩症などでは、胃が挙上され肋骨の下に入り込んでいるためにPEGが造設できない場合がありPTEGの良い適応である。さらに脳室腹腔シャント(VP-shunt)留置症例の腹腔内感染予防目的で、PTEGが選択される事も多い。また開口障害などの何らかの理由で内視鏡検査自体が実施できない症例でも、PTEGは造設可能であり選択されることがある(表2)。

表2 PTEGの適応7)

PEGの禁忌例に対する適応

PEGの禁忌例以外の適応

PEGの絶対禁忌例に対する適応

  • 通常の内視鏡検査の絶対的禁
    (呼吸器疾患:誤嚥性肺炎,肺気腫,低肺機能症例など)
    (循環器疾患:心筋梗塞,慢性心不全,大動脈瘤など)
  • 内視鏡が通過不可能な咽頭・食道狭窄
    (開口障害,咽頭狭窄など)
  • 胃前壁を腹壁に近接できない状況
    (肝臓,横行結腸など)

PEGの相対的禁忌例に対する適応

  • 腹水貯留症例
    (癌性腹膜炎,腹膜透析症例など)
  • 胃の腫瘍性病変や急性粘膜病変
    (高度進行胃癌,多発性胃ポリープなど)
  • 胃手術およびその他の上腹部手術の既往(胃切除術後,胆石術後など)
  • 横隔膜ヘルニア
    (食道裂孔滑脱型ヘルニアなど)
  • 嚥下障害を持つ85才以上の超高齢者
  • 開腹手術後合併症併発症例
  • 脳室腹腔シャント留置症例の腹腔内感染予防目的
  • 腹腔内腫瘍により胃壁が圧排されている症例
  • 横隔神経麻痺により胃が挙上され肋弓下に入り込んでいる症例
  • PEG合併症併発例(慢性漏出,蜂窩織炎など)

3.禁忌

PEGとPTEGに共通する禁忌としては、抗凝固剤の投与などで、血液凝固能に異常がある状態の症例や、肝硬変や門脈圧亢進症などで胃や食道の静脈瘤がある症例では、造設によりコントロール不能な出血を生じる可能性があり実施すべきではない。また、重篤な状態下での造設や基礎疾患による生命予後が非常に短く、PEGやPTEGを造設することにより十分な効果を得られる期間を期待できないような場合では、倫理的に推奨できない。

PTEG造設における特有の禁忌としては、甲状腺の肥大や多発する頸部リンパ節の腫脹などで、頸部食道を超音波下に穿刺する際に、安全な穿刺ラインを確保できない場合には、無理な実施はすべきではない。また、嗄声がある症例では反回神経麻痺の存在が示唆され、穿刺部と対側に反回神経麻痺が有る場合は、穿刺により健常側の反回神経を損傷すると両側の反回神経麻痺となり、声帯が閉鎖され呼吸困難となる可能性があるので、対側に反回神経麻痺が存在するか確認する必要がある。そのような対側に反回神経麻痺が存在する症例へのPTEGの造設は実施すべきではない。さらに腫瘍や潰瘍および狭窄などの食道病変が存在する症例では、PTEGの造設により出血や穿孔などの合併症や病状を増悪させる可能性があり推奨できない(表3)。

表3 PTEGの禁忌7)

PTEG特有の禁忌

PEGと共通する禁忌

  • 安全な経皮的な穿刺経路が得られず他臓器穿刺の危険性がある場合
    (多発性頸部リンパ節腫脹,甲状腺の腫大など)
  • 反回神経麻痺が存在するか疑われる場合
    (嗄声を認める症例など)

PEGの絶対禁忌に共通する禁忌

  • 補正できない出血傾向
  • 消化管閉塞症例への経腸栄養目的での造設など

PEGの相対的禁忌に共通する禁忌

  • 凝固能異常状態
    (出血傾向,血液抗凝固剤投与など)
  • 門脈圧亢進
    (肝硬変,胃食道静脈瘤など)
  • 胃瘻造設による効果を十分な期間
    得られないような症例
    (全身状態不良,生命予後不良など)

4.造設

成人の頸部食道の90%は甲状腺左葉背側に位置するため、本稿では左側頸部からのアプローチによる標準的なPTEGの造設法について述べる8,9)

4.1 超音波下穿刺

まず第一にすべきことは、超音波を用いて、食道や甲状腺の位置や形状や大きさだけでなく、頸動静脈や気管の走行などの、頸部臓器の解剖学的位置関係を確認することである。次に患者をX線透視台の右側を頭側にした仰臥位とし、経鼻的にストレートタイプのガイドワイヤーを食道内へ挿入し、ガイドワイヤーを通して非破裂型穿刺用バルーンrupture-free balloon (RFB)を食道内へ挿入誘導し留置する。その際に前もってバルーン内を希釈した造影剤にてプライミングして、できるだけ気泡を除去しておくと穿刺時に明瞭な超音波画像が得られ易い。食道内でRFBを希釈した造影剤約10mlにて拡張し、食道入口部にひっかけてゆっくりと口側へ牽引し、穿刺可能な頸部食道の範囲を引き出し確保する。患者の頭部を後屈し右側へ回転させ、再度超音波にて解剖学的位置関係を確認する。拡張したRFBを超音波プローブと頸椎椎体の間に挟み込み体表より強く圧迫すると、甲状腺は内側へ、頸部動静脈は外側へ移動し、穿刺可能な経路が得られ、同時に体表からRFBまでの最短距離が得られる。穿刺部の局所麻酔後、超音波画像の穿刺予定ラインをRFBのカテーテルシャフトに合わせ、周囲臓器を損傷しないように十分注意して超音波下に外筒付き穿刺針を用いてRFBを穿刺する(図2)。

図2 左側頸部超音波画像10)
RFB: Rupture-free Balloon (非破裂型穿刺用バルーン)
A: Carotid Artery (頚静脈) V: Jugular Vein (頚静脈)
図2 左側頸部超音波画像10)

その際、穿刺針はRFB内のシャフトに突き当たり、術者の手に確実な抵抗を触知する。また、穿刺針を振動させると、それに同期したシャフトの振動が超音波画像で描出される。さらに、外筒付き穿刺針の内筒を抜去すると、穿刺針の針基からバルーン内の造影剤が噴出する。「抵抗触知」「超音波画像」「造影剤の噴出」の三点から、穿刺針先端がRFBのバルーン内に位置していることが確認できる。穿刺針の外筒を通してアングル型ガイドワイヤーをRFBバルーン内に挿入し、先端が約5cmバルーン内にたわむように留置後、穿刺針を抜去する。アングル型ガイドワイヤーを皮膚レベルにて鉗子で把持し固定後、X線透視下に観察しながらRFBを虚脱させ肛門側へ約20cmRFBを追加挿入する。これにより、アングル型ガイドワイヤーは肛側へ強制的に方向づけられ引き延ばされて、ついにはRFBのバルーン内からリリースされ、食道内へ留置される。X線透視にてアングル型ガイドワイヤーのリリースを確認後、経鼻的に食道内へ挿入されているRFBとストレート型ガイドワイヤーを体外へ引き抜く。これにより、食道内へは体表より挿入されたアングル型ガイドワイヤーの先端のみが、食道内に留置された状態となる。事故抜去や粘膜損傷等の予防の意味で、X線透視下にアングル型ガイドワイヤーの先端を、念のため胃内まで確実に追加挿入しておく。

4.2 穿刺部の拡張

穿刺部の皮膚に十分な局所麻酔を実施し、穿刺部より内側へ向けて約1cmの皮膚切開を加える。この時真皮までしっかりと切開できていないと、瘻孔拡張時に著しい抵抗が発生するので注意が必要である。アングル型ガイドワイヤーを通したピールアウェイシース付き複合型ダイレーターを用いて、穿刺部の瘻孔を拡張する。

この時、頸部は筋組織など多くの層を介して食道に到達するため、強い抵抗を触知することがしばしばある。ダイレーターを尾側へ傾けて、X線透視像にて食道とガイドワイヤーおよびダイレーターが一直線状になるようにし、ダイレーターを回転させて抵抗を軽減させながら、ゆっくり挿入し穿刺部を拡張する。また抵抗軽減の目的で皮下組織等を鉗子などで事前に剥離すると、周囲臓器を損傷する危険性があるばかりでなく、死腔を形成し術後皮下膿瘍および瘻孔感染の原因となるので、皮下の剥離操作は実施せずにダイレーターのみで瘻孔の拡張を実施することが望ましい。

4.3 留置チューブの挿入留置

ピールアウェイシース付き複合型ダイレーターのピールアウェイシース部分のみを残し、ダイレーターとガイドワイヤーを抜去する。シースより目的に合った留置チューブを挿入し、X線透視下に先端を目的臓器まで誘導し留置し、シースをピールオフ後チューブを縫合固定して完成である。その際、留置チューブはシースを通過可能であるサイズのものであれば全て選択能である。

5.術後管理

5.1 固定方法

経管経腸栄養法でも腸管減圧法でも、術直後から使用可能であり、一般的なドレーン管理のみで、特別な処置を必要としないことを特徴としているが、造設直後は縦隔洞炎や瘻孔感染の予防目的で、数日の予防的な抗生剤投与が望ましい。造設直後の2週間は、縫合固定にて瘻孔形成を待ち、それ以降は抜糸して、バンドもしくはテープによる固定に変更すると、さらに低侵襲に管理が可能である。

5.2 術後トラブル

造設後の最も多いトラブルは、事故(自己)抜去とチューブの閉塞である。刺入部が頸部であることから違和感がやや強い場合があり、認知症症例などでは事故(自己)抜去が頻回となることがある。その際には、縫合固定を併用しテープや衣類などで刺入部や体外のチューブを隠すことで、ある程度予防が可能である。しかし、PTEGは抜去されても、重篤な合併症を誘発することは少なく、抜去直後であればチューブの再挿入は、非常に簡便かつ安全に実施できることも特徴である。また経口摂取が可能となりPTEGが不要となって抜去した場合などでは、比較的早い時間で瘻孔が閉鎖し、難治性の瘻孔になることはほとんど無いことも利点の一つである。しかし事故(自己)抜去されてから、時間が経過してしまうと、再挿入が困難となることが多いので注意が必要である11)

PTEGの留置チューブはPEGのボタンに比べ、細くて長いチューブを留置する場合が多いため、内服薬の経管投与などにより、チューブの閉塞が生じることがある。内服薬は簡易懸濁法によって投与し、栄養剤投与後は補水等で管腔内を十分に洗浄後、酢水にて管腔内を封入して管理することにより、管腔内の汚染を最小限にすることが可能で、長期間の管理が可能となる。しかし、閉塞気味のチューブは基本的には早期の交換が望まれる。

6.おわりに

平成23年4月1日より保険診療(C2申請)が認可され、PTEGの造設件数が増加することが予測される。また日本人は元々胃癌の発生が多い人種であり、胃切除術の件数も多い傾向がある。さらに本邦では胃の良性潰瘍に対しても積極的に胃切除術を実施していた時代が過去にあった事実もある。そのため胃切除術後の症例が高齢化し脳血管疾患に罹患して経管経腸栄養法を必要としたり、癌に罹患し癌性腹膜炎などによる消化管通過障害に対し腸管減圧法を必要とする件数も増加することが予測され、今後もますますPTEGの造設件数の増加が予測される。

PTEGはPEGに勝とも劣らない消化管瘻である。PEGを選択するかPTEGを選択するかは、患者の状態により選択されるべきであるが、術者の精通する手技が内視鏡であるか超音波下穿刺であるかも重要な要素であり、安全の確保が最優先されるべきである。前述のように、保険適応の復活によって、造設件数の増加が予測されるが、無用な造設や事故および合併症などの抑制に本稿が参考になることを筆者は期待する。

文献

  1. 大石英人,村田順,亀岡信悟:経皮経食道胃管ドレナージ術 穿刺用非破裂型バルーンカテーテルの開発とその将来性. 日外会誌99(4): 275,1998
  2. 大石英人, 進藤廣成, 城谷典,ほか:経皮経食道胃管挿入術(PTEG:ピーテグ)その開発と実際. IVR会誌, 16:149-155, 2001
  3. Hideto Oishi, Hironari Shindo, Noriyasu Shirotani, Shingo Kameoka:A non-surgical technique to create an esophagostomy for difficult cases of percutaneous endoscopic gastrostomy. Surgical Endoscopy. 17(8), 1224-1227, 2003
  4. Gauderer MWL, Ponsky JL, Izant RJ Jr: Gastrostomy without laparotomy: A percutaneous endoscopic technique. J Pediatr Surg 15: 872-875, 1980.
  5. Ponsky JL, Gauderer MWL: Percutaneous endoscopic gastrostomy: a nonoperative technique for feeding gastrostomy. Gastrointest Endosc 27: 9-11, 1981.
  6. 上野文昭,鈴木裕,嶋尾仁. 消化器内視鏡ガイドライン 第2版 25. 経皮内視鏡的胃瘻造設術ガイドライン 責任編集 日本消化器内視鏡学会卒後教育委員会, 医学書院, P295-309, 東京, 2004
  7. 大石英人, 城谷典保, 亀岡信悟 : 連載カラーグラフ PTEG QOL向上のための経管栄養法 2. PTEGの適応と禁忌 日本醫事新報 4239, P33-36, 2005
  8. Lorrie L. Kelly,Connie M. Petersen 「Sectional Anatomy」1997
  9. 大石英人 : 第III章PTEGの造設法 1 PTEGの造設手技 1.定型的造設法 経皮経食道胃管挿入術―適応から手技・管理の実際まで (亀岡信悟 監修、大石英人 編集) 永井書店, p45-68, 東京, 2008
  10. 大石英人, 城谷典保, 亀岡信悟 : 連載カラーグラフ PTEG QOL向上のための経管栄養法 3. PTEGの手技の実際 日本醫事新報 4244, P33-36, 2005, 8
  11. 大石英人:特集・外科当直医必携 II .病棟当直医必携 2.処置に伴う合併症と対策 7 PTEG事故(自己)抜去 消化器外科 2010年4月臨時増刊号33(5) へるす出版; 4, p892-894 (東京),2009

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