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Chapter1 PEG
6.合併症・トラブル 1.造設時
②他臓器穿刺


昭和伊南総合病院消化器科・消化器病センター 堀内朗

堀内朗
記事公開日 2011年9月20日
2015年10月27日改訂

1.定義および原因

他臓器穿刺とは、造設時に腹壁を介して胃壁を穿刺する際、胃以外の臓器を穿刺、損傷することである。これまでに横行結腸や肝外側区域の穿刺の報告がある(図1)。

図1 胃、肝臓、横行結腸の位置関係
図1 胃、肝臓、横行結腸の位置関係
胃を穿刺(→)しようとして、肝外側区域や横行結腸を損傷してしまう
可能性があることを常に念頭に置く。

急性期合併症の範疇にはいるが、多くは慢性期に発見される。横行結腸への誤穿刺は、造設時結腸を貫通して胃内にカテーテルが留置されているにもかかわらず、気づかずに退院した場合に発生する。カテーテル初回交換時には先端が結腸内留置となるため、栄養剤注入直後から激しい下痢を発症し発覚することが多い。肝臓への誤穿刺の多くは無症状で経過し、腹部CT検査などを施行した際に偶然発見される1)

2.診断

通常、腹部CT検査を施行すれば、他臓器穿刺を診断できる。横行結腸への誤穿刺はうすめたガストログラフィンをカテーテルに注入後、腹部レントゲンを撮影し、横行結腸が造影されることを確認するか、瘻孔から細径内視鏡を挿入して横行結腸の内腔を確認する。

3.予防

造設時には必ず内視鏡の透過光(図2)を確認する。

図2 造設時に内視鏡室を暗くすると内視鏡の光(透過光)が腹壁に映る。
図2 造設時に内視鏡室を暗くすると内視鏡の光(透過光)が腹壁に映る。

透過光を確認した際、示指による胃壁圧迫(指押しサイン)が内視鏡で確認できれば(図3)、胃壁と腹壁の間に横行結腸や肝臓などの介在物がないと判断できる。

図2 造設時に内視鏡室を暗くすると内視鏡の光(透過光)が腹壁に映る。
図3 内視鏡検査時、モニターにて
粘膜下腫瘍様の盛り上がり(指押しサイン)を確認する。

透過光がはっきりと見えない場合は、必ずX線透視下で胃と隣接臓器の位置を確認しながら穿刺すると他臓器穿刺は予防できると筆者は考えている2)。もしも他臓器誤穿刺の疑いがある場合は腹部CT検査を施行すると胃瘻カテーテルと隣接臓器との関係が明らかになる。

また、局所麻酔時の試験穿刺の際、胃内に穿刺針が露出していないにもかかわらず、空気が吸引された場合は腸管への穿刺が、血液が吸引された場合は肝臓、太い血管への穿刺が予想されるので穿刺部位を変更する3)

4.対処法

カテーテル抜去のみで解決する場合と開腹手術が必要な場合があるが、いずれにしても入院治療が基本となる。

胃瘻カテーテルが結腸内に留置されていることが発見されたらカテーテルを体表面で切断し、カテーテル先端が便ともに排泄されるのを待つ。用手的に体表面からカテーテルを抜去することはくれぐれも避ける。5~7日間程度絶食、点滴を施行しながら血液検査および腹部CT検査にて腹膜炎の有無を確認して、問題がなければ、透視下にて胃瘻造設を再度施行する。

しかしながら、安全な造設部位の確保が困難であれば、PTEGや外科的胃瘻造設術も考慮する。また、腹腔内出血や腹膜炎が発症した場合は直ちに開腹外科手術の適応となる。

文献

  1. 蟹江治郎:クリニカ27:182-187,2000
  2. 堀内朗他:田村君英編:技師&ナースのための消化器内視鏡ガイド、学研、東京、p186-193,2010
  3. 曽和融生監修:PEG実践マニュアル、フジメディカル出版、大阪、p27-34,2001

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