HOME > PDNレクチャー > Ch.1 PEG > 3.造設 1造設手技⑤胃壁固定

Chapter1 PEG
3.胃瘻造設 1.2外科的胃瘻造設術

① 開腹胃瘻造設


田無病院 院長 丸山道生

平良明彦
記事公開日 2024年12月18日

1.開腹胃瘻造設の適応

PEGが行われる以前は、外科的に胃瘻造設術が行われていた。小開腹で行われる外科的胃瘻造設は局麻下でも可能で、侵襲も少ない手術である。現在はPEGの適応にならない症例に対し、施行されることが一般的である。対象症例としては、内視鏡が通過しない狭窄のある患者や、癒着や介在臓器がある場合などである1,2)。癒着や介在臓器に対してはこれを直視下に排除し、胃を引き出すことにより胃瘻造設が可能となる。最近は、腹腔鏡補助下に行われることもある。

2.開腹胃瘻造設の手技

2-1. 皮膚切開

胃を引き出すのにふさわしい部位に3-4㎝の皮膚切開を置き、開腹する。多くは左季肋部に縦切開を置く。皮下脂肪が多い場合は皮膚切開を長めにする(図1)。

図1
PDNセミナー胃瘻と栄養TEXT BOOK 4-2: 外科的胃瘻・腸瘻より引用
図1 腹壁の切開

2-2. 胃の露出

開腹創から腹腔内を観察し、胃を同定してその壁を把持して、体外に引き出す。癒着がある場合には、それを剥離、介在臓器はそれを鈎などで排除する。

2-3. カテーテルの挿入

体外に引き出した胃壁の漿膜側に巾着縫合を行い、縫合中心部で胃壁に切開を加え、カテーテルを胃内に誘導し、巾着縫合の糸を結ぶ(図2)。バルンカテーテルを使用する場合は、その時点で、バルンに蒸留水を注入し、バルンを膨らませ、カテーテルが抜けないようにする。

図2
PDNセミナー胃瘻と栄養TEXT BOOK 4-2: 外科的胃瘻・腸瘻より引用
図2 カテーテルの挿入

2-4. カテーテルの埋没縫合

カテーテルの巾着縫合の外にもう一度巾着縫合を行い(Stamm法)、カテーテルを胃壁内に埋没させる。もしくはカテーテルを胃壁に沿い、漿膜面を縫合し、数針にわたりカテーテルを埋没させる(Witzel法)(図3)。

図3
PDNセミナー胃瘻と栄養TEXT BOOK 4-2: 外科的胃瘻・腸瘻より引用
図3 カテーテルの留置方法

2-5. 腹壁への固定

カテーテルの留置部位は、皮膚切開の近くに新たに小切開を加え、カテーテルを体外に出す方法と、はじめの切開創からそのままカテーテルを出す場合がある。創部の感染を避けるためには、創部の近傍でカテーテルを体外に誘導した方が良いと考えられている。カテーテル周囲の胃壁の漿膜筋層と壁側腹膜を全周性に4針ほど縫合し、カテーテルが腹腔内に露出しないようにする。、最後に創部を縫合して、終了となる(図3)。
 通常、カテーテル周囲の瘻孔は2-3週間で完成すると考えられている。

文献

  1. 永井祐吾:外科的胃瘻・腸瘻、曽和融生ら監修、PDNセミナー胃瘻と栄養、p90-91,NPO法人PEGドクターズネットワーク、東京、2004
  2. 清水利夫:胃瘻造設術のコツ、幕内雅敏監修、胃外科の要点と盲点、p289-293,文光堂、東京、2003

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